Thursday, August 20, 2020

中国「ライブコマース」は世界の10年先をゆく、業界の構造と利益配分率も詳解 - ビジネス+IT

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アリババが運営するEC「タオバオ」のライブ配信で商品を紹介・販売する、中国のトップインフルエンサーの薇娅(ウェイヤー)(中央左)

(Photo/VCG/Getty Images)


2020年の流通総額は約14.6兆円の見込み

 中国のライブコマースが急速に成長をしている。以前からこの領域は成長し続けており、2019年の流通総額は4,338億元となっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が急増し、2020年の流通総額は9,610億元(約14.6兆円)になると予想されている。
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中国のライブコマースは2019年に成長軌道に乗り、コロナ禍で一気に成長。2020年は流通総額が9,610億元(約14.6兆円)になると予測されている。iResearchの予測によると2020年のEC全体の流通総額は11.2兆元(約170兆円)となっているため、ライブコマースはEC全体の約8.6%を占めることになる

(出典:「ライブEC生態進化論─2020ライブEC業界研究報告」(微播易)より作成)


 ライブコマースとは、スマートフォンのライブ配信を利用して商品を販売する仕組みだ。日本のテレビショッピングとよく似ているが、スマホなのでテレビよりもはるかに利便性が高い。視聴者はコメントを使って、その場でライブ主に質問をすることができる。さらにECサイトと連動しているので、ワンタップで商品が購入でき、決済も同時に済んでしまう。

 ライブコマースの草分けは、アリババのEC「淘宝(タオバオ)」で、2016年3月からサービスを提供し、現在3万人以上の「タオバオ達人」と呼ばれる人々がタオバオの商品を販売するライブ配信を行っている。


 その達人の中で、最も売り上げる薇娅(ウェイヤー)は、2019年11月11日の独身の日セールで、27億元(約410億円)の商品を売った。これは平均的なショッピングモールの1年分の売り上げとほぼ同じだ。ウェイヤーの販売手数料は販売額の14%前後とみられるので、彼女が1日で稼いだ報酬は60億円近いものになる。

コロナ打撃を受けた商店主たちが続々開始

 この成功を見て、さまざまなプラットフォームがライブコマースの仕組みを構築していたところに、新型コロナウイルスの感染が拡大し、街中の商店は休業せざるを得なくなった。そこで、商店主たちがライブコマースに注目をして、閉店している店内でスマホを使って店舗の商品の販売を試みた。商品の販売手段を絶たれた店主たちが、大挙してライブコマースに流れ込んだ。
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 プラットフォーム側も、ライブ主の登録手続きを簡素化するなどして支援をした。消費者たちも外出自粛で買い物に行けないため、ライブコマースは「買い物の手段」だけでなく「手頃な娯楽」として急速に盛り上がっていった。

 中には驚異的な成功を収める例も現れた。2月28日には、茅台酒(マオタイシュ)の9つの組合が連合して蘇寧(スーニン)ライブ上でライブコマースを行った。本場の茅台酒が買えると話題になり、視聴者は240万人以上、用意した10トンの茅台酒を売り切った。しかし、購入できなかった視聴者が不満を述べたために、購入できなかった視聴者に600元のクーポン券を配布する事態になった。

 翌29日には、建設機器を販売する中聯重科土方機器が、Tik Tok上でライブコマースを行った。商品はショベルカーで、スーツ姿の副総経理が実際に運転して見せるというユニークなものだった。こちらは9万人が視聴し、620台のショベルカーが売れた。

【次ページ】利益配分率を図解:中国ライブコマース「3×3」のメインプレイヤー

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