Thursday, September 3, 2020

本当はビジネスでなく社会運動 ライブハウス苦境の先に - 朝日新聞デジタル

ライブハウスよ!①

 客は10人。しかも全員関係者。「実質、ゼロだよ」と平野悠(ゆう)(76)は笑った。初の小説「セルロイドの海」を発表し、7月13日に記念トークショーを東京・渋谷のライブハウス「ロフト9」で開いた。著名人が何人もゲストに名を連ねていたが、惨憺(さんたん)たる結果。

拡大する写真・図版平野悠。「ライブハウスの危機を、僕みたいな年寄りでなく新しい人がどう転化するのか。全力で応援する」

 平野は、日本のライブハウスを半世紀にわたり牽引(けんいん)してきた。1971年に、東京に最初の「ロフト」をオープン。音楽だけでなく、トークショーもライブとして売り出し、成功した。

 「ここ3、4年、ライブがえらいおもしろくなっていたんだよ」と平野は言う。「いまはCDが売れない時代。だから、ミュージシャンがすごくライブを大切にするようになった。こっちが緊張するくらい、裸の姿で勝負している」

 テンションは、客にも伝わっていた。「ここ数年はむちゃもうかった。売り上げが月額1億円なんてこともあった」

 しかしコロナで客は激減。「有料配信を月に200本以上して、ようやく月1千万の赤字」と平野は話す。トークライブで感染者を出し、ロフトグループ会長を辞任。経営には参加するが無給だ。

 しかし平野は、想像以上に明るかったのだ。

 「48年前にライブハウスを始…

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