宝塚歌劇ファンの「聖地」として知られ、3月末で94年の歴史に幕を下ろした旧宝塚ホテルで使用されていた家具・調度品が、兵庫県宝塚市内の公共施設で“第二の人生”を歩んでいる。ホテルは廃棄予定だったが、市の要望で計123点を寄贈した。市立中央図書館(同市清荒神1)には10月中旬から椅子やテーブルなどを置き、来館者が読書などに利用している。図書館の担当者は「旧ホテルは市民に長く愛されてきた。読書の合間に、貴重な思い出に浸る時間にもなれば」と話している。
「貴重な文化財」市の要望で123点寄贈
旧宝塚ホテルは1926(大正15)年、宝塚市梅野町に開業した。赤い切り妻屋根を持つ欧風ホテルは、阪神間モダニズムの象徴として市民らに親しまれ、観劇に来た宝塚歌劇ファンが立ち寄る憩いの場でもあった。しかし、老朽化のため新築移転が決まり、2020年3月31日で営業を終了した。新ホテルは6月21日、同市栄町1にオープンした。旧ホテルから、回廊の壁を飾った緞帳(どんちょう)や石造りの階段の一部などは移設されたが、レストランやロビー、ブライダルサロンなどにあった家具・調度品の多くは残された。
「美術的な価値とは別に、宝塚市の一時代を象徴しており、貴重な文化財といえる」。そう考えた中央図書館係長の野村京子さんが、閉館前の1月、ホテル側に「落ち着いた雰囲気で読書を楽しめるようにしたい」と提供を打診。「市民に愛用していただけるなら」とホテル側も快諾した。
「せいぜい椅子が数脚と思っていた」と言う野村さん。4月下旬に引き取りに訪れた際、「何点でもとの申し出に驚いた」と笑う。残された家具・調度品の9割超にあたる123点を、トラックで10往復して図書館まで運んだ。
家具・調度品は椅子やテーブルのほか、ソファ、ランプ、カーテン、燭台(しょくだい)、譜面台など。中央図書館には、ゴブラン織りの布張り椅子と脇机、シェードランプなど計12点を置いた。購入時期は分からないが、旧ホテルのフランス料理店「プルミエ」やティーラウンジ「ルネサンス」、ビアレストラン「ビアケラー」などで使用されていたという。このほか、中央図書館小浜・安倉分室(同市小浜1)▽西谷ふれ愛ライブラリー(同市大原野)▽市立中央公民館(同市末広町)▽市立宝塚文化創造館(同市武庫川町)――などにも置かれている。
また、市立文化芸術センター(同)で21年春に開催される企画展「モダン宝塚のレガシー」(仮称)にも、家具・調度品はホテルの歴史を物語る「証人」として展示される予定という。↵
中央図書館でゴブラン織りの布張り椅子に腰掛けて本を読んでいた市内在住の女性(54)は「良い座り心地ですね。宝塚ホテルは友達とランチやお茶をした場所。娘の成人式の会場もここでした。思い出がいっぱい詰まっています」と感慨深げだった。
宝塚ホテルの担当者は「宝塚に根付いてきたホテルとして、『提供してほしい』と声をかけてもらい、光栄でした。市民のみなさんに末永く愛着を持って使っていただけたら」と話した。【土居和弘】
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November 24, 2020 at 10:57AM
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「思い出いっぱい」 旧宝塚ホテルの家具調度品、市立図書館で“第二の人生” - 毎日新聞 - 毎日新聞
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