豊田通商は3月31日、トヨタ自動車、B Medical(B Medical Systems)と共に3社で協業したワクチン保冷輸送車に対して、WHO(世界保健機関)が定める医療機材品質認証PQS(Performance, Quality, Safety)を取得したと発表した。認証登録会社は豊田通商で、ワクチン保冷輸送車でのPQS取得は世界初という。 【この記事に関する別の画像を見る】 ■ ランドクルーザー78を使用したワクチン保冷輸送車 今回、PQSを取得したワクチン保冷輸送車は、車両にトヨタ「ランドクルーザー78」を使用し、積載するワクチン専用冷蔵庫は「B Medical CF850」を使用した。 冷蔵庫容量は396Lでワクチンパッケージ400個分の容量を持ち、冷蔵庫は独立のバッテリーにより電源無しで約16時間稼働。冷蔵庫は走行中は車両から充電し、駐車中は外部電源から充電可能としている。 3社の役割としては、豊田通商はアフリカにおける事業で培った知見と課題認識力を生かしPQS認証取得会社としてワクチン保冷輸送車を提供。トヨタはランドクルーザー78の車両を提供し、B Medical Systemsはワクチン専用冷蔵庫 CF850を提供した。そして、豊田通商グループのCFAO SASとトヨタ自動車グループのトヨタカスタマイジング&ディベロップメントが、ワクチン保冷輸送車の架装を実施した。 同件は、厚生労働省の補助事業の採択を受けた案件で、豊田通商では「安全と安心を届けたい」の想いをもとに、トヨタ、B-Medicalと共にプロジェクトに取り組んできたといい、今回のワクチン保冷輸送車のPQS取得が、少しでも地域の安全と安心に貢献できるように取り組みを続けていくとしている。 ■ 新型コロナウイルス感染症用ワクチンの輸送手段としての活用へも期待 PQSは、国連の医療機材の調達において対象機材の開発を推進し、かつ品質水準を設けるべく定められた、WHO認可による医療機材の認証制度。PQSを取得した医療機材は、国連関係機関をはじめ、大手NGOや慈善団体の機材選定基準にもなるという。これらの団体が自国で医療機材の認証制度がない途上国に対しても、PQSを認証基準とすることで輸送機材提供の支援がしやすくなり、ワクチンの有効利用の改善が期待されるとしている。 この取り組みは、ワクチン有効利用という途上国における社会課題解決への貢献とともに、昨今関心が高まるグローバルヘルスに関わる輸送分野でイニシアチブを発揮できるという意義があり、新型コロナウイルス感染症用ワクチンを途上国へ公平分配する国際的枠組みであるCOVAXにおいても、PQS取得により本ワクチン保冷輸送車が使用可能となり、新型コロナウイルス感染症用ワクチンの輸送手段としての活用も期待されているとしている。 ■ 途上国では、輸送中の温度変化が原因でワクチン供給量の約2割(400億円相当)が毎年廃棄されている ワクチン接種は、感染症予防に対して有効な手段の1つ。一般的な新生児用ワクチンは2~8℃での保管が必須といわれており、適切な温度管理の下でワクチンが保管されなければ使用することができない。 途上国では、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)やUNICEF(国連児童基金)などの国際機関からワクチンの供給支援を受けられるものの、自国内の病院や診療所まで配送する際に、道路インフラが未整備であることに加え、適切な保冷輸送手段が無いために、輸送中の温度変化が原因でワクチン供給量の約2割(400億円相当)が毎年廃棄されている。そのことも原因の1つとなり、ワクチンで予防可能な感染症により、毎年150万人の子どもの命が奪われているという。
Car Watch,編集部:椿山和雄
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April 01, 2021 at 03:51AM
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