Monday, September 27, 2021

「ハードクレーマー」で有名、生活保護でホテル971泊…市に水増し請求も - 読売新聞オンライン

 約2年8か月にわたりホテルに宿泊しながら、盛岡市から生活保護費の住宅扶助計約1440万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた無職男(53)(青森県八戸市)と妻(47)(同)の初公判(加藤亮裁判長)が27日、盛岡地裁であった。法廷では、両被告が高齢の家族を同居させ、市に対し、強引に保護の継続を迫っていた経緯が明らかにされた。

 「だまし取ろうと考えていませんし、だまし取ってもいません」。27日午前、グレーの作業着姿で出廷した男、罪状認否で起訴事実を一部否認した。

 起訴状などによると、二人は2018年8月~今年3月、青森県八戸市のホテルに宿泊しながら、実際に支払った金額より水増しした領収書を盛岡市に提出。住宅扶助として971泊分、計約1440万円をだまし取ったとされる。

 このうち、18年9月~19年3月に提出した計約305万円分の領収書について、男は「その通りの金額をホテルに支払っています」と不正受給を否定。残る約1135万円分についても、国の観光支援策「Go To トラベル」などの割引を利用して宿泊しながら、通常料金の領収書を同市に送付していた事実を認めたものの、だまし取る考えはなかったと主張した。

 捜査関係者によると、男らは盛岡市内で被告の90歳代の父親と3人で同居していた。しかし、14年10月に家賃滞納で立ち退きを命じられ、同市に生活保護を申請。一家が住居を確保するまでの間、市は一時的にホテル代を住宅扶助として支給することを認めた。同市は3人家族に対する1か月の住宅扶助の支給上限額を4万円と定めているが、男らが受給した額は1か月あたり約45万円にのぼった。

 検察側の冒頭陳述によると、男は担当者をどなりつけるなど、市職員の間では「ハードクレーマー」として有名だった。市は再三、住居の確保を要請したが、「高齢の父親がいるので身動きがとれない」とホテル暮らしを継続。「一定額までしか給付できない」との市の説明にも「全額でなければ困る」などと 執拗しつよう に主張したという。

 市は結局、父親の生命・身体に危険が及ぶことも懸念し、「予想外の生活の場の転換に多額の費用を必要としている」と支給を決定。その後も、被告から送られた領収書通りに扶助費を払い続けた。これらの経緯について、市生活福祉第二課の担当者は「個別の世帯の話なので回答は控えたい」と話している。

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September 28, 2021 at 05:23AM
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