ゼロは5―10年以内に電気自動車(EV)の輸送に適した新型車両を100台導入する。新型車では輸送機材の構造の見直しなどで最大積載量を従来比約3割増の11・2トンに向上。電池容量の拡大で車両重量が増すEVの輸送効率を高めた。車両の大きさだけでなく重さも加味した輸送料金体系への見直しにも着手する。EV普及で完成車輸送にも変化が求められており、ゼロはいち早く対応し、輸送効率化で収益の最大化を目指す。
ゼロは特殊車メーカーの浜名ワークス(浜松市浜北区)と輸送機材(トレーラー)「Zモデル」を共同で開発した。運転席部分のキャビンに休憩用のベッドを備えていないトラクターを採用。トラクターとトレーラーの連結部を運転席側に近づけ重心を前方に移動させたことで、トレーラー最後尾のタイヤにかかる負荷を減らすなど最大積載量を高めた。
ZモデルではEV単独で最大4台の積載を実現。従来型の輸送機材はガソリン車で5―6台の積載が可能だが、車両重量が増すEVでは3台しか乗せられなかった。すでにZモデルを2台導入した。
今後は国内で完成車メーカー各社によるEV生産の拡大や輸入車メーカーによるEV販売の増加が見込まれる。ゼロは5―10年後に同社の輸送機材全体の約2割に当たる100台をZモデルとする計画だ。
積載量をさらに最大13・5トンに向上したモデルの開発も進めているが、実用化するには「道路で通行できる車両重量の緩和が必要。業界を挙げて訴求していきたい」(ゼロ)との事情がある。
EV化に伴い輸送料金に関しても改定を検討する方針。これまでは車体のサイズなどを基準に料金を設定してきた。ただ車両が重くなっているEVでは、小型車でもガソリン車の中型車並みの重量になることも考えられ、サイズ基準では限界がある。車両重量を踏まえ、料金の体系を見直す方向で検討する。
日刊工業新聞2022年5月16日
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