Thursday, June 16, 2022

ロシア、欧州向けガス輸送量を次々削減 「政治的に利用」の声も - 毎日新聞 - 毎日新聞

ロシア国営ガス大手「ガスプロム」のロゴ=ロシア・サンクトペテルブルクで3月31日、ロイター 拡大
ロシア国営ガス大手「ガスプロム」のロゴ=ロシア・サンクトペテルブルクで3月31日、ロイター

 ロシア国営ガス大手ガスプロムは16日、海底ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」経由でドイツなど欧州各国に送っている天然ガスの輸送量を減らした。ドイツなどは、欧州のウクライナ支援に不満を持つロシアが、ガスを「政治的に」利用していると非難している。

 ガスプロムは14日、ドイツへの輸送量を約4割減らすと発表。翌15日には、16日からさらに2割削減して通常の約6割減となる日量6700万立方メートルにすると表明していた。

 影響はドイツ以外の国々にも及んでいる。ロイター通信などによると、イタリアのエネルギー大手エニは、ガスの輸送量が通常より35%減少したと発表。スロバキアやチェコのガス会社も約3割減ったという。

 ガスプロム側は輸送量の減少について、ノルドストリームに関連するプラント設備を修理をした後、欧米による制裁の影響で設備の輸送が遅れていると主張している。

 一方、欧州側はガス輸送量の減少が、独仏伊の3首脳がウクライナの首都キーウを訪問した16日に近かったことから、ガスプロムの動きは意図的だとみて非難。ドイツのハベック経済・気候保護相は「明らかに不安をあおり、ガス価格をつり上げようとする戦略だ」と指摘した。ハベック氏は現時点で「ドイツでの供給に問題はない」としながらも、今後は一定量のガスを「高値で市場から買う必要がある」と述べ、独企業や市民にガスを節約するように呼び掛けた。

 イタリアのドラギ首相は16日、「(ウクライナからの輸出が滞っている)穀物のように、ロシアはガスを政治的に使おうとしている」と批判した。イタリアはロシアのウクライナ侵攻後、ガス輸入先の多角化を進めており、現時点で供給に影響はないという。【エルサレム三木幸治】

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