Saturday, August 13, 2022

FX/為替見通し「熱波で石油製品輸送に障害か、ユーロ/円の戻り138.500円までならダブルトップ形成期待増す」週刊為替レポート ハロンズ ユーロ/円 ポンド/円 2022年8月14日 - マネ育チャンネル

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執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人

目次

執筆日時 2022年8月12日 14時30分

熱波で石油製品輸送に障害か、ユーロ/円の戻り138.500円までならダブルトップ形成期待増す

8月8日週のユーロ/円、ポンド/円は米ドル/円に追随、主体性のない展開

独自材料が不足する中で、米ドル/円の下落に連動してユーロ/円は136.295円、ポンド/円は161.272円まで各々、売りが先行しました。しかし、その米ドル/円が「米インフレはピークアウト観測」をけん制する当局者の発言から133円半ばへ持ち直すと、ユーロ/円は137円半ば、ポンド/円は162円半ばへ切り返しました。

※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。

ユーロ、エネルギー問題に続き酷暑も重し

来週は夏季休暇が終わり、少しずつ投資家が市場に戻り始めるため、流動性も回復してくると思われます。また、経済指標の発表も増えますが、中でも16日のZEW景況感調査が注目されます。足もとのインフレ動向を鑑みれば、大幅利上げ期待がくすぶるのは止むを得ないのですが、一方で、エネルギー問題や利上げで景気の先行き不安も急速に高まっています。また、エネルギー問題に加え、今年は記録的な熱波でライン川の水位が低下し始めており、生産や石油取引に支障が出るのではとの観測も流れています。景気見通しの不確実性がさらに増せば、ECBの積極的な利上げ期待が後退し、ユーロを圧迫する危険はあります。現在は、ドル高調整局面からユーロは相対的に底堅い推移をしていますが、米雇用の底堅さをみればその動きも自ずと限界があるように感じます。ユーロ/円は、米ドル/円の動向に引っ張られやすい面はありますが、引き続き下目線が優勢かなと感じます。

図表1.ZEW景況感調査 出所:欧州経済研究センター(ZEW)

ZEW景況感調査

CPIの結果がさらにポンド抑制の要因となる危険も

来週、17日に英7月消費者物価指数が発表されます。市場予想は、前年比で6月の9.4%から9.9%へ上昇する見込みとあって、引き続き物価には上昇圧力がかかりやすい状況です。また、10月に電気料金が引き上げられる予定で、当面、物価低下は望みづらいです。予想以上にインフレ高進を示す指標結果となれば、イングランド銀行への大幅利上げ観測は一部で広がるかもしれませんが、それ以上に悪い金利上昇による経済の下押し懸念から、ポンド売りが強まる危険性の方が高いでしょう。

ユーロ/円、138.500円付近で上値抑制ならダブルトップか

8月2日に133.394円まで下落して以降は下値を切り上げる流れが優勢となっていますが、日足一目均衡表・雲下限(138.463円)で上値を抑えられたのは下方向への暗示かもしれません。再度、同水準で頭を抑えられるようだと、ダブルトップ形成が視野に入ります。さらに、136.295円(8月11日安値)を下抜ければ、下落スピードが加速しそうです。

【ユーロ/円チャート 日足】

EUR/JPY チャート日足
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:134.500-138.500

ポンド/円はレンジプレイ中心も、ブレイク後の動きも想定したい

162円前半にある5月12日安値からの支持線や、一目雲の下限が支持線としてワークしており、下髭を伸ばしても終値ベースでは同ラインを越えるなど、底堅さが少し増している様子はうかがえます。しかし、上方向も163.516円(執筆時点)を推移する21日移動平均線がしっかりとレジスタンスラインになっており、正直、上下に動きづらい様子です。162.000円~163.500円のレンジの上下限で逆張りがメインの取引になりそうです。ただ、流動性はいまだ低いままですので、値が飛びやすくレンジをブレイクしたときも想定して、その場合は順張りで流れに沿ってポジションメイクをしたいと考えます。

【ポンド/円チャート 日足】

GBP/JPYチャート日足
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:160.000-165.000

8/15 週のイベント

8/16(火) 15:00 イギリス 6月失業率(ILO方式)
8/16(火) 18:00 ドイツ 8月ZEW景況感調査
8/17(水) 15:00 イギリス 7月消費者物価指数(CPI)
8/17(水) 18:00 ユーロ 4-6月期四半期域内総生産(GDP、改定値)
8/18(木) 18:00 ユーロ 7月消費者物価指数(HICP、改定値)
8/19(金) 08:01 イギリス 8月GFK消費者信頼感調査
8/19(金) 15:00 イギリス 7月小売売上高
8/19(金) 15:00 ドイツ 7月生産者物価指数(PPI)
8/19(金) 17:00 ユーロ 6月経常収支

一言コメント

欧州では記録的な熱波から、干ばつなどの被害が出ていますが、イギリスも例外ではありません。ロンドンを流れるテムズ川の源流の一部が消えたました。また、水不足も深刻化しており、一部地域ではホースでの「水やり」や「洗車」が禁止されています。天候ばかりは、イングランド銀行もどうしようもないですね。

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