政府が月内に閣議決定する「安保3文書」の改定に合わせ、沖縄県など南西諸島での有事の際に県外から増援する機動展開能力を強化するため、令和5年度以降5年間で輸送船舶8隻、輸送機・空中給油機計16機を増強することが13日、分かった。これまで宮古島や石垣島など先島諸島への部隊移動には約1カ月を見込んでいたが、台湾有事が南西諸島有事に波及することをにらみ大幅な短縮を目指す。
機動展開は、南西諸島有事の際に沖縄県外の全国8カ所に配置された陸上自衛隊の機動師団・旅団が展開する運用構想。平成25年に閣議決定された「防衛計画の大綱」で盛り込まれたが、輸送力不足などで十分な機能が発揮できないと指摘されてきた。
安保3文書の一つである「防衛力整備計画」に、来年度以降5年間で自衛隊の輸送手段を拡充するとともに、民間船舶も活用して南西諸島の防衛態勢を迅速に構築する方針を示す。これにより島民避難の迅速化も図る。10年後までにさらなる輸送力強化や補給拠点も改善する。
具体的には、5年間で中型級船舶(LSV)や小型級船舶(LCU)など計8隻に約600億円を計上。大型の輸送艦よりも小回りが利く中型や小型を充実させる。C2輸送機6機に約2千億円、KC46A空中給油・輸送機約10機に約4千億円をそれぞれ割く。CH47ヘリコプターなども拡充する。民間活力導入(PFI)方式で民間海上輸送力を強化するため約1千億円を計上する。また、大型港湾が未整備でも臨時に桟橋を設置できる陸揚げ支援システムの研究開発を推進。コンテナトレーラーや大型クレーン、大型フォークリフトの調達も進める。
現在、南西諸島に最も近い補給拠点は佐賀県吉野ケ里町の陸自九州補給処のため、南西地域の補給支処整備に約300億円を割く。将来的に全国の補給処で在庫管理を電子化するなど近代化を図る。また、南西諸島における自衛隊司令部を地下化するほか、基地・駐屯地内の密集した施設を再配置し、1回の攻撃で深刻な損害を被る事態を回避する。那覇市に駐屯する陸自第15旅団を増強し、師団化することも整備計画に盛り込む。
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December 13, 2022 at 03:07PM
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