Sunday, January 14, 2024

鉄道による水素輸送で輸送時のCO2排出量を8割以上削減 - 日刊工業新聞

鉄道による水素輸送で輸送時のCO2排出量を8割以上削減

~「つくる、とどける」でグリーンな状態を保つ~

 株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、大分県玖珠郡九重町で製造されたグリーン水素の輸送手段として鉄道を利用し、従来のトラックによる輸送に比べ、輸送時のCO2排出量を82%削減しました。鉄道による水素輸送は、国内初の取り組みとなります。(※1)

 当社は現在、岩谷産業株式会社(本社:大阪府・東京都、社長:間島寬)発注の「岩谷産業研修施設新築工事」(兵庫県神戸市)の建設現場において、CO2排出量削減に資する各施策の実証に取り組んでおり、施策の一つとして、仮設現場事務所に設置した水素燃料電池による電力供給を行っています。その際、大分県玖珠郡九重町で製造しているグリーン水素を月1回程度、トラックにより輸送していましたが、再生可能エネルギーにより製造されるグリーン水素は、製造時にCO2を排出しないという利点がある一方、長距離輸送時のCO2排出量を削減する輸送手段を検討する必要がありました。

 今回、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)(本社:東京都渋谷区、社長:犬飼新)、全国通運株式会社(本社:東京都中央区、社長:永田浩一)および江藤産業株式会社(本社:大分県大分市、社長:近藤寛)の協力で、輸送経路の大半をトラックから鉄道に切り替えるモーダルシフト(※2)により、1回の輸送(大分県玖珠郡九重町~兵庫県神戸市の現場の片道)にかかるCO2排出量を0.347tから0.062tに8割以上の削減を達成しました。


鉄道コンテナに搭載されたカードル

神戸貨物ターミナル駅に到着したコンテナ

「岩谷産業研修施設新築工事」の建設現場に到着した水素
 当社は、長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050(※3)」で掲げる「脱炭素」の実現に向け、2022年10月に取得したSBT認定に沿った取り組みを推進することで、建設現場におけるCO2排出量削減だけでなく、資機材輸送時などを含めた施工に係るサプライチェーン全体でのCO2排出量削減をめざします。

※1 鉄道による水素輸送は、国内初の試みとなります
   (高圧ガス保安法等関係法令の制限・基準の範囲内での輸送)
   2023年12月時点、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)調べ
※2 モーダルシフト
   トラックなど自動車で行われている貨物輸送を、環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用 
   へと転換すること。1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ために排出されるCO2
   の量は、トラック(営業用貨物車)が216gであるのに対し、鉄道は20g、船舶は43g
   と少なく、地球温暖化対策として有効とされている
※3 Obayashi Sustainability Vision 2050
   当社は2011年に中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」を策定し、
   再生可能エネルギー事業の推進など環境に配慮した社会づくりに取り組んできた。こ
   のビジョンをより発展させ、さまざまな社会動向や大林グループを取り巻く事業環境
   の変化を捉え、経営基盤としてのESGや社会課題であるSDGsの達成への貢献を取り
   込み、当社グループ一体で「地球・社会・人」と自らのサステナビリティを同時に追
   求するため、2019年6月に「Obayashi Sustainability Vision 2050」へと改訂した

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