Monday, April 20, 2020

【法律相談】取引先との間で納品数に誤差 口約束は有効?(NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

 ビジネスのやり取りは書面を取り交わすのが基本だが、過去からの慣習、スピード感、煩わしさ……時には口約束でビジネスが進んでいくことは少なくない。取引先との間で納品数に誤差が生まれた場合、契約書がないと不利になるだろうか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【見出し】
 金属加工の工場を経営。取引先の担当者とは30年来の付き合い。その方が急死、それでも納品すると、新担当者から「数が多い、返品したい」と通達。前担当者は万が一を考え、常に多めに発注していたのかも。問題は口約束だけで契約書を交わしていないこと。やはり返品を受け入れなければいけませんか。

【本文】
 口約束でも契約は成立しますが、契約の成否や条件について、双方の意見が対立すると、契約書や受発注書等の文書がある場合に比べ難しくなります。まず前担当者に部品の購入権限があったのかが問題ですが、新担当者も一定の数量の必要性を認めて納品に応じており、購買する権限があったことは認めるようです。しかし、一定数量を超えた発注権限はなかったということでしょう。

 その通りだと前担当者は、権限の範囲を超えて発注したことになりますが、発注権限アリと信ずるべき正当な理由があなたにあれば、表見代理の法理で取引先に対し、発注全量の契約成立を主張できます。従来、同様の取引を繰り返したのなら、全量発注の権限があったと信じても過失はなく、正当な理由が認められると思います。

 困るのは取引について文書がないことです。配送業者が納品していたら、数量や種類は第三者的立場の業者の記録で証明できますが、自分で納品していた場合には、そうはいきません。支払いが振込みであれば、支払額は証明できますが、様々な種類の部品を別々の単価で納めていた場合、数量を立証することは不可能です。

 部品の種類が単一で、単価も同じなら、過去の支払いから数量の計算ができます。その数量が毎回ほぼ同数で、今回の納品の数量と一致すれば、発注の事実と前担当者に権限があると信じた正当な理由があることの裏付けになり、取引先に全量の引取りと代金支払いを求めることが可能になります。

 以上でもおわかりだと思いますが、書類がないと苦労します。下請法では製造委託をする会社に対し、数量や代金額を記載した書面を委託先に交付することを義務付け、違反すると罰則もあります。そこで公正取引委員会へ相談する方法も考えられます。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年5月1日号

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