北洋銀行と北海道銀行でも5月以降、新型コロナウイルス危機に苦しむ事業者向けの実質無利子・無担保の融資残高が急増している。利子相当分は北海道が補給し、万が一焦げ付いても信用保証協会が返済を肩代わりする。金融機関にとってはリスクゼロの制度とあって、信用金庫や信用組合を巻き込んだ貸出先の争奪戦が過熱している。
部品製造のFJコンポジット(北海道千歳市)は6月までに北海道銀から融資を受けた。すぐに北洋銀も担当者が同社を訪ねて融資をまとめた。津島栄樹社長は「以前から資本を厚くするために借り入れを検討しており融資が決まった」と満足顔。ライバル関係にある道内の2地銀が立て続けに同じ企業を訪ね、融資を決めたレアケースだ。
政府と道が設けた新型コロナ対策の実質無利子・無担保融資はコロナで売り上げが5%以上落ちた企業が対象で、国と道独自の制度を合わせて1社あたり最大6000万円の融資を受けられる。企業は3年間無利子で融資を受けられる一方、金融機関にも利点がある。
北海道の場合、同制度の金利は年1%(融資5年以内)か年1.2%(同10年以内)で、全額を道が金融機関に支払う。さらに原則、北海道信用保証協会による信用保証がつき、仮に企業が返済できなくなっても同協会が最大全額の返済を肩代わりする。金融機関にとってはリスクのない融資だ。
資金繰りに苦しむ企業からの需要を追い風に、地銀2行も積極的に融資を続けてきた。自行をメインバンクとする取引先の需要は一巡しつつあり、他金融機関を主要取引先とする企業や、預金口座を持つだけの企業にも声をかけ始めている。
「企業にとっては借金に変わりなく、そう何度も借りられない。融資できるかは『早い者勝ち』の要素が大きい」(北海道の金融関係者)。無利子融資はどの金融機関で借りても同じで、各行は需要の掘り起こしに躍起になっている。
低下が続いてきた地銀の貸出金利回りにも歯止めがかかるかもしれない。2020年3月期の利回りは北海道銀が前の期比0.06ポイント減の1.12%、北洋銀が同0.07ポイント減の0.87%まで下がった。長引く低金利にくわえ、企業の資金需要が低下して低利回りの自治体向け融資が増えていた。
20年3月期で貸出金に占める自治体向けの割合は北洋銀が31%、北海道銀が26%といずれも全体の4分1以上を占める。自治体向けの利回りは1%未満が多く、新型コロナの無利子融資はこれを大きく上回る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安岡勇亮アナリストは「2地銀にとって取り組めば取り組むほど収益性は高い。追加のプロパー(自前の)融資を求める企業が増えれば貸出金利回りも上向くだろう」と見る。
新型コロナによる資金需要も青天井ではない。金融庁は企業の資金需要に適切に対応しているかを確認するため地銀のプロパー融資残高を調べる方針で、貸し倒れの恐れのない融資に安易に偏っていないかに目を光らせている。
安岡アナリストは「地銀にとって無利子融資を機に、これまで取引のなかった企業とのつながりが生まれるチャンスだ」と強調する。新たな取引先が生まれれば同時に、新型コロナの終息後も企業が資金を求めた時には傘を差し出す義務が生じる。息の長い付き合いは始まったばかりだ。
(塩崎健太郎)
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June 30, 2020 at 02:30PM
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新型コロナ:リスクゼロの無利子融資、争奪戦の先に待つ義務 - 日本経済新聞
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