Sunday, August 23, 2020

<頂の先へ 高校生二冠・藤井の時代>(下) 成長加速できるか - 中日新聞

全冠制覇を達成した羽生善治七冠(左下、1996年当時)。藤井聡太二冠(上段右)の再現はなるか。豊島将之竜王(同中央)、渡辺明三冠(同左)らが立ちはだかる

全冠制覇を達成した羽生善治七冠(左下、1996年当時)。藤井聡太二冠(上段右)の再現はなるか。豊島将之竜王(同中央)、渡辺明三冠(同左)らが立ちはだかる

  • 全冠制覇を達成した羽生善治七冠(左下、1996年当時)。藤井聡太二冠(上段右)の再現はなるか。豊島将之竜王(同中央)、渡辺明三冠(同左)らが立ちはだかる

 「本当に集中できている時は一分が長く感じる。あの一局もそうだった」。六月の棋聖戦五番勝負の第一局。最終盤で、藤井聡太は深い集中の海に潜っていた。約三十手先に現れる局面で、自分の玉はぎりぎり詰みを逃れている−。秒読みの中で読み切り、大きな一勝目を手にした。

 対戦相手の渡辺明(36)=三冠=は、その読みの速さと正確さに驚愕(きょうがく)した。「今までトップ棋士同士なら、互いにそれほど変わらない終盤力で戦っている感覚があった。しかし、藤井さんにはそうではない力を感じた」。十六年間タイトルを保持し続ける「現役最強棋士」の渡辺をして「未知の感覚」と言わしめた藤井の終盤力。その源となる深い集中について、藤井と同じように語った棋士がいる。

 通算タイトル獲得数九十九期、「史上最強棋士」の呼び声高い羽生善治(49)。「本当に深く考えられている時は、時間の観念がなくなる」。藤井とも共通する究極の集中状態について、本紙の取材に語っている。

 その羽生が一九九六年に達成した「全冠制覇」は空前絶後の記録と言われる。九五年、羽生は全七冠(当時)を懸けた王将戦で、谷川...

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