Tuesday, August 11, 2020

コンプラが先か、我々の価値観の変化が先かのデッドヒート|カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~|カレー沢薫 - gentosha.jp

これはツイッターで見た話なので、まず服を全部脱ぎ、口を開けて鼻から脳みそを垂らしながら聞いて欲しいの。

最近アメリカでは、本国産の漫画の人気がなく、日本などの漫画の方が人気なのだそうだ。
何故ならアメリカでは最近ポリコレの風が強すぎて不適切な表現があるとすぐクレームが入るため、それを考慮し尽くした結果、作品自体が面白くなくなってしまった、からだという。

本当かどうかはわからないが、なくはない話だとも思った。あと口はもう閉じていい、服は着るな。

 

前々回、海外の乙女ゲームの話をしたが、その中ではとにかく「性的合意」にこだわっており、さあこれから拘束具を交えた変態セクロス(原文ママ)をするぞ、という時でさえ、何をするにも合意確認をするのはもちろん、本当に嫌な時は「退却!」と言ってくれという、セーフワードの提示までされるという徹底ぶりであった。

ポリコレというかコンプラ的には大変素晴らしく、2億点と言って良い。
しかし「乙女ゲーとしてどうか?」という点を加味すると好みは分かれるところだが「総合2点」ぐらいが妥当ではないだろうか。

リアルセクロスでも、合意はもちろん、何も言われなくてもコンドームはつけるべきであり、「コンドームをつけない男はあいさつできないのと同じですよ」という加藤鷹の名言はもはや保健体育ではなく道徳の教科書に載せるべきだと思う。しかし、必ず必要なこととは言え、装着する時に「まぬけな間」が発生してしまうのも事実である。
手練れであれば、その間も盛り上がる催しをご用意できるのかもしれないが、素人はなかなかそうもいかない。
場合によって、一旦電気を着ける、メガネを探す、最悪ベッドサイドにないことが判明し、パートナーをベッドに残し、全裸で部屋をうろうろすることになったりする。

つまり、そう言った「コンプラ的に必要な行為」をフィクションにイチイチ描くと、作品内がまぬけだらけになってしまい、読者は「そのくだりいるか?」となってしまうのである。

だが、そこを省略して描くと「どれだけ金持ちでイケメンでもあいさつ(隠語)しねーとかどういうことよ?」という苦情がきかねない世の中なのだ。
そうなると、壁ドンや、反論しようとするヒロインの口をキッスで塞いでくるような「強引な男」は登場させるのすら難しくなってくる。
「俺から逃げられると思ってんの?」と強気なことを言いながら、部屋のドアは全開、常に最低2メートルのソーシャルディスタンスを取っており、もちろんフェイスガード装着というまぬけな絵面になってしまうのだ。

このように、表現の自由と倫理やコンプラは昔から相性が最悪なのである。
ラブコメだったら相性最悪だった二人が距離が徐々に近づくのだが、この両者は今後も離れていく一方だと予想される。

ちなみに、昔から日本の漫画やアニメ、ゲームは海外でも人気であり、BLなども人気である。
中には、日本のBL本を読むために日本語習得ネキもいるし、逆にアメコミBL創作を解読するために英語マスターネキもいる。

言葉を覚えたければ、その国に恋人を作るのが一番というが、それよりも「その国のBLにハマる」方が早いような気がする。

しかし「乙女ゲー」はさほど海外では人気がなく、むしろ欧米では「不評」という噂もある。

その理由は「ヒロインがマゾすぎて理解できないから」だそうだ。

はて、私も今まであまたの乙女ゲーをプレイしてきたが、鼻フックとボールギャグ着用で登場したヒロインは見たことがないが? と思ったが「男がいちいち横暴で、ヒロインがそれに諾々と従うのが理解できない、自分なら通報、少なくとも顧問弁護士を雇う」ということらしい。

確かに、乙女ゲーには、俺様、ドS、ヤンデレというような、あまりヒロインの都合には興味がないタイプが結構出てくるし、そういうキャラほど人気だったりする。ヒロインはそういうキャラに戸惑ったり怒ったりはするが、はっきり拒否ることはないし、拒否るとバッドエンドになってしまったりする。
つまりクリアしたかったらそういう奴らを受け入れるしかないシステムなのだ。

確かに日本人の目からしても乙女ゲーには「『通報』という選択肢を出してくれ」というシーンは多々ある。

しかし、乙女ゲーのヒロインというのは一応「プレイヤーの分身」なのだ。
よって、あんまりヒロインの意志や自己主張が強いとプレイヤーによっては拒否反応が出てしまう。

よって出来るだけ多くの人間が感情移入できるように乙女ゲーのヒロインは「そんなに特徴のない受け身がちな普通の人」になってしまうことが多いのだ。

そうなると物語の推進力が「個性的な男の都合に振り回されること」のみになってしまうので、それを拒否ると、もはや乙女ゲーとして何も動かなくなってしまうのだ。

このように、コンプラとフィクションの折り合いは描く方もだが、読む方もなかなかつけることができない。

しかし、表現における「当たり前」というのは徐々に変化してきている。
BLでも未だに強引な攻め様は多いが、それでも具合が悪い受けを無理矢理襲ったり、受けの仕事や人間関係を破壊するような、著しく受けの人権を侵害する行為はかなり減ってきており、BLもTLもコンドーム描写が増えて来たと言う。

今は、コンプラを意識し過ぎた表現には違和感を感じるかもしれないが、その内「退却」が当たり前になり「どの声優の退却が一番いいか」というのがオタクの鉄板トークになるのかもしれない。

Let's block ads! (Why?)



"先" - Google ニュース
August 12, 2020 at 04:14AM
https://ift.tt/33QTggk

コンプラが先か、我々の価値観の変化が先かのデッドヒート|カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~|カレー沢薫 - gentosha.jp
"先" - Google ニュース
https://ift.tt/2EFrXrO
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment