“マンスリーマンション”という言葉を耳にしたことがあったとしても、通常の賃貸住宅を探しているときには自分には関係ない、と感じる人は多いかもしれません。
しかし、現在物件を探している人だけでなく、さまざまな人がマンスリーマンションを有効活用できる可能性があります。
そこで今回は、マンスリーマンションについて、物件や支払いの仕組み、通常の賃貸マンションと異なるポイントなどを解説していきます。
また、通常の賃貸マンションやビジネスホテルと比較して家賃は安いのか高いのか、具体例を挙げて説明するので参考にしてみてください。
マンスリーマンションとは
マンスリーマンションを一言で表すと、1ヶ月単位で借りられる短期の賃貸マンションです。
一般的な賃貸マンションやアパートでは2年契約が基本ですが、マンスリーマンションの契約形態には、1年未満の短期契約と1年以上の賃貸借契約の2種類があります。
1年未満の短期契約では、家賃を月払いではなく、全額前払いするという特徴があります。
どちらの契約形態にしても、マンスリーマンションには家具や家電が一式そろっているので、すぐにでも生活をはじめることが可能です。
マンスリーマンションは賃貸マンションよりも安い? 高い?
それでは、家賃の相場について、一般的な賃貸マンションとマンスリーマンションではどのくらい違うのでしょうか。以下の4つのポイントで比較してみましょう。
家賃:マンスリーマンションは賃貸マンションの1.5~2倍程度
LIFULL HOME’Sの物件検索で、新宿区にある同条件のマンスリーマンションと賃貸マンションの家賃を調査してみました。
物件条件 |
家賃(月額) |
|
マンスリーマンション (全21件) |
賃貸マンション (全844件) |
|
・新宿区、駅徒歩10分以内、 築10年以内、間取り1K、専有面積25 m2~30m2、バス・トイレ別 |
12万円~24万8,010円 |
7万7,000円~14万5,000円 |
LIFULL HOME’S調べ(2020年7月2日時点)
1ヶ月の賃料を最安値と最高値で比較すると、マンスリーマンションは賃貸マンションの1.5~2倍近く高いという結果に。
もちろん、エリアや設備などの細かい条件によっても異なりますが、一般的にマンスリーマンションの家賃は割高になります。
ただし、賃貸マンションは家賃のほかに管理費がかかる場合があり、マンスリーマンションの家賃には水道光熱費やインターネット料金が含まれていることもあるため、総合的に考えるようにしましょう。
初期費用:敷金や礼金、仲介手数料がかからない
通常の賃貸住宅を契約すると、敷金や礼金、仲介手数料などが初期費用としてかかります。しかし、マンスリーマンションではこれらの設定がなく、かかるのは清掃料金のみというケースが一般的です。
また、火災保険もマンスリーマンションの運営会社がマンション一括という形で加入しており、賃料に含まれることが多いでしょう。
ただし、火災保険料を日割りで支払うという運営会社もあるので、契約前にしっかりと確認してください。
水道光熱費:日数に応じて1日単位で請求されるケースも
水道光熱費については、一般的な賃貸住宅では月々の使用分を入居者が個々に支払う形となっています。
しかし、マンスリーマンションでは、月額料金が決められていたり、すでに賃料に含まれていたりすることも多いです。住んだ日数に応じて1日単位で請求されるケースもあります。
このように、マンスリーマンションでの水道光熱費は、物件によって異なります。料金が固定されていても、水道や電気などの使用料が極端に多い場合には、別途請求されるケースがほとんどなので注意が必要です。
水道光熱費が月額で固定されていたり、すでに賃料に含まれていたりするケースでは、使っても使わなくても同じ料金なので、出張や旅行などで家を空けていることが多い場合は、何となく損した感覚になる人もいるかもしれません。
家具・家電:備え付けのため購入する必要なし
生活に必要な家具や家電には、洗濯機や冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、寝具(ベッド)などが挙げられます。そのほかにも、あると便利なテーブルやソファ、ないと困るカーテンなどもマンスリーマンションには付属しています。
そのため、これらの必要な家具や家電を購入する必要がありません。もし短期間の住まいで、これらのものをそろえようとすれば費用や手間もかかるだけでなく、退去時の引越し代や処分方法についても考える必要が出てきます。
細かい予算の計算や準備をすることなく、手軽に短期間住めるところがマンスリーマンションのメリットです。
ビジネスホテルに比べてマンスリーマンションは安い?
家具や寝具がそろっていて短期間住める場所という点は、ビジネスホテルも一緒です。そこで、ビジネスホテルとマンスリーマンションを調査し、比較しました。
大手ビジネスホテルチェーンである東横インの場合、2020年8月における新宿区のシングルルーム(約12m2)は平均1泊8,750円。1ヶ月(30日)だと26万2,500円となります。
それ以外の料金でも、シミュレーションしてみましょう。
◇シミュレーション
1泊 4,000円…1ヶ月 12万円
1泊 5,000円…1ヶ月 15万円
1泊 6,000円…1ヶ月 18万円
1泊 7,000円…1ヶ月 21万円
1泊 8,000円…1ヶ月 24万円
都内の場合、ほかの地方都市と比べて宿泊料金は高めですが、もちろん、もっと安く泊まれるビジネスホテルもあります。
しかし、ある程度の立地や部屋の広さ、設備などを考慮すると、マンスリーマンションの家賃に初期費用等を合わせたとしても、ビジネスホテルのほうが割高になりやすいといえるでしょう。
マンスリーマンションへの入居が向いている人
家具や家電が一式そろっていて、家賃が少々割高になるものの1ヶ月という短い単位で借りられるマンスリーマンションは、以下のような人に向いています。
仕事などで特定の短期間だけ住む人
1ヶ月や1年など長期出張を予定している人は、さまざまな面でマンスリーマンションがお得です。
ビジネスホテルとは違い、自分で掃除や洗濯をする必要がありますが、部屋への出入りに気を使うこともなく、自分の空間を邪魔されることもありません。短期間ではあるものの、プライベートタイムをリラックスして過ごせるでしょう。
キッチン道具がある程度そろっていれば、自炊して食費を節約することも可能です。家具や家電が備え付けであることから、退去時にも引越し準備などの労力が少なくて済みます。
引越しが完了するまでの仮住まいとして使用する人
転勤が急に決まった人や、繁忙期で物件が決まらなかった学生などがマンスリーマンションにしばらく入居するというケースもあります。
空いていればすぐに入居できるので、とりあえずマンスリーマンションに入居し、新しい土地で暮らしながら物件探しをじっくり行ったり、休みの日に新居への引越し作業を進めたりできます。
まとめ
マンスリーマンションは、通常の賃貸マンションに比べて家賃が割高ではありますが、ある特定の事情がある人にはメリットもたくさんあります。
また、エリアにもよりますが、都心の場合はビジネスホテルと比較した場合には、マンスリーマンションを利用するほうがお得になるでしょう。
賃貸住宅を探すうえで一番気になるのは家賃ですが、入居期間が短いことがはじめから決まっている人であれば、家具や家電、寝具などの購入費用や退去後の手間も含めて、マンスリーマンションを検討してみてはいかがでしょうか。
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August 05, 2020 at 10:10AM
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