3分インタビュー:
「SNSで話題のあの商品はどうやって開発したの?」「なぜこの会社はこんな取り組みを進めているの?」ちょっと気になっていた企業の“なぜ”をコンパクトに紹介します。
サービスや製品に込めた思いや苦労話など、担当者にしか分からない「裏側」を徹底取材。仕事が忙しくて、じっくりと情報を得ることができない人でも読めるよう、できるだけ簡潔にまとめています。テレワーク中の息抜きや移動時間、就寝前に「3分インタビュー」でサクッと情報収集!
東京・四ツ谷の高級ホテル、ニューオータニが新作カクテルを発表した。コンセプトは「生ごみから生まれたカクテル」。「え? 大丈夫?」と思わず聞き返したくなるカクテルだが、どのような商品なのだろうか?
カクテルを開発したホテル内のバー「カプリ」のマネージャー兼バーテンダー世界チャンピオンの吉田宏樹さんと同社の広報、片岡慎一郎さんに話を聞いた。
世界チャンピオンが作る「カクテル」に隠された秘密とは?
――「生ごみ生まれのカクテル」と聞いて大丈夫なのか? と心配しているのですが、どういったカクテルなのでしょうか?
吉田さん: もちろん大丈夫です。生ごみがそのまま入ってるわけではありませんしね(笑) 当ホテルから出る生ごみを「コンポストプラント」という機械を使ってたい肥に変え、そのたい肥で育てたフルーツや野菜を使ったカクテルのことを指します。
私たちは「サステナブルカクテル」と呼んでいます。今回は第三弾で梨のカクテル「Re.Pear」を9月1日から11月30日まで提供する予定です。ちなみに、第一弾はトマト、第二弾はフルーツの皮を使ったカクテルを用意しました。
サステナブルカクテルに欠かせない「生ごみ」、当ホテルから1日に出る量はどれくらいだと思いますか?
――え! いきなり質問ですか! そうですね……多く見積もって2トンくらいでしょうか?
吉田さん: 正解は5トンです。当ホテルは、33室の宴会場と37店舗のレストラン、3店舗のバーがあります。そこから毎日出る生ごみをたい肥にし、提携する農家に販売する。提携農家がそのたい肥を使って育てたフルーツや野菜を買い取り、食材として再利用しているのです。
当ホテルでは1999年からこの取り組みを推進していますが、当時は今ほどサステナブルという考え方が浸透していませんでした。そのため、「生ごみ由来」をお客様に提供していいのか? というジレンマがあり、生ごみ由来の食材は社員食堂でのみ使われていました。
近年、サステナブルが浸透し始め、お客様にもぜひ味わってほしいという思いからまずはカクテルの開発に至りました。
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カクテルのこだわりは「副材料をシンプルにすること」
――20年以上も前から取り組まれていたんですね。そんなカクテルにはどういったこだわりがあるのでしょうか?
吉田さん: 「Re.Pear」のコンセプトは「提携農家のフルーツをそのまま味わっていただくこと」です。梨の食感を残すこと、副材料をシンプルにすることを意識しました。材料はノンアルコールの場合はハーブティーと白ブドウのジュースと塩水、梨です。カクテルの場合はここにウォッカを加えます。
一般的なカクテルの副材料は2〜3種類ですが、近年は7〜8種類入れるものも多いです。さらに、副材料自体が30種類以上の材料を使った自家製ということもあります。自家製の副材料を使うことで味を複雑にできるなどメリットもありますが、多くの食品ロスが発生します。環境への配慮を第一優先とするのであれば、材料はシンプルが好ましいです。
――今回が第三弾とのことですが、過去2回の反響はどうでしたか?
吉田さん: 興味本位で注文される方が多かったものの、実際に口にしたら「おいしい」という反応を多くいただけました。作り方や開発の背景をお話させていただくと、家でやってみようかなとおっしゃってくださる方も。
当ホテルのサステナブルな取り組みをご存じで注文してくださる方もいました。やはり少しずつ人々の意識が変わってきていると実感します。
ですので、今後もこの取り組みは続けていきたいと思っています。大きいホテルですので、ごみは減らしていったほうがいいですしね。
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24時間稼働し、生ごみをたい肥にする「コンポストプラント」
――先ほど吉田さんが話されていた、生ごみをたい肥にする機械「コンポストプラント」とはどういうものなのでしょうか?
片岡さん: 当ホテルの1階に機械があるので、お見せしながら説明しますね。
コンポストプラントは「加熱処理」「乾燥」「熟成」「異物除去」という流れで動いています。まず、ホテルの厨房などで出た生ごみを集めます。最初の機械で、生ごみをかき混ぜながら120度の蒸気で一気に「加熱処理」していきます。
そうすることで、殺菌、消毒された状態を作ります。そこから「乾燥」「熟成」を通してたい肥に。「異物除去」ののちに提携農家に買い取っていただきます。提携農家だけでなく、当ホテルのローズガーデンや庭園の土に混ぜることもしています。
――すごく手間がかかっているように感じます。1ホテルがここまで投資する意味があるのでしょうか?
片岡さん: もちろん、ごみの量が少なければ東京のごみ処理場に依頼したほうが安く済むと思います。しかし、当ホテルでは1日に5トンもの生ごみが出ます。この規模を自社でやるからこそ、コスパ面でも意味が出てくるのです。
――新型コロナウイルスの影響で経済活動がストップしたことが、環境面ではプラスに働いたという研究結果が出ています。ニューオータニとして今後、環境問題にどのように取り組んでいきたいと考えていますか?
当ホテルは、まだサステナブルが話題になる30年以上前から課題意識を持ってさまざまな環境問題に取り組んでいます。その結果、19年度の会社全体の二酸化炭素排出量は、東京都が設定する基準排出量(大規模事業所の削減目標量)の約29%減を達成しました。
今後もお客様の快適な滞在を担保しながら地球環境に配慮した取り組みを推進していければと思っています。
――すみません。非常に言いにくいのですが、サステナブルな取り組みを聞きに来たにもかかわらず、カクテルを飲み残したままだと気付きました……。
片岡さん: ああ、大丈夫ですよ(笑) コンポストプラントに行って、またカクテルに生まれ変わるので。
(終わり)
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September 03, 2021 at 07:10AM
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