日本郵便(本社・東京都千代田区、衣川和秀社長)と佐川急便(本社・京都市南区、本村正秀社長)は1日、協業の新たな取り組みとして幹線輸送の共同化を開始したと発表した。また、拠点受け取りの共同化として、佐川急便の荷物を郵便局で受け取り可能にするための実証実験を4月以降に開始することも明らかにした。
両社は昨年9月に協業に関する基本合意書を締結し、①小型宅配荷物の輸送「飛脚ゆうパケット便」、②国際荷物輸送「飛脚グローバルポスト便」、③クール宅配便――の3分野での協業を進めている。
1日、日本郵便の小池信也常務執行役員と佐川急便の中川和浩取締役が都内で会見し、協業の進捗状況などを説明した。
幹線輸送の共同化は、東京→郡山間で1日から1日便体制で開始。城西営業所(東京都江東区)を出発した佐川急便の幹線車両が新東京郵便局に立ち寄り、郵便荷物を積み込んで郡山まで運ぶ。1ヵ月で約1・8tのCO2削減につながる。また、4月以降は東京→九州でも共同運行を開始する。佐川急便がメインユーザーとなっている東京九州フェリーの横須賀~新門司航路を活用し、関東発の荷物を九州全域に向けて共同輸送する。
拠点受け取りの共同化では、佐川急便が不在で持ち戻った荷物を、近くの郵便局で受け取れるようにするための実証実験を4月以降開始する。目黒区や世田谷区など都内数局で開始する予定で、利用状況などを踏まえて実運用に向けて検討していく考え。
EMSの協業は2月からスタート
一方、昨年9月に発表した協業内容の進捗では、国際荷物輸送「飛脚グローバルポスト便」を2月から全国でサービス開始したことを報告。同サービスは、日本郵便のEMSを佐川急便が取り扱うもので、佐川が荷主から預かった荷物を日本郵便に差し出し、EMSの配送網を使って世界各国に送る。佐川急便には既存サービスとして「飛脚国際宅配便」があるが、こちらは配達日数が1週間程度なのに対し、飛脚グローバルポスト便は最大15日程度かかるものの、料金は低い。同社では越境ECの需要が拡大する中で、商品ラインナップを拡充して多様な顧客ニーズに対応する。
また、小型宅配荷物の輸送「飛脚ゆうパケット」については、昨年11月以降、首都圏の一部でサービスを提供しているが、準備が整い次第、全国展開を図るとした。日本郵便のポスト投函型の小型宅配「ゆうパケット」を佐川急便が取り扱うもので、佐川がこれまで対応していなかったポストイン型のサービスが加わることで利便性向上が期待できる。
クール宅配便については、1日から「郵便局カタログ」に掲載された一部の冷凍商品を対象に、佐川急便の「飛脚クール便」で届ける取り組みがスタート。今後は、インフラ拡充に合わせた対象商品を増やしていくことを検討していく。
会見で日本郵便の小池常務執行役員は「人手不足などの社会課題は、企業単独では対処できないという流れが世の中に浸透してきている。(佐川急便とも)競合すべきところは競合し、一緒にできるところは協業することは理に適ったことだ」と述べ、今後の協業拡大に前向きな姿勢を示した。また、佐川急便の中川取締役は「今後も、利便性を高めるためのサービス開発、効率的なインフラネットワークの構築、脱炭素などの幅広いテーマで協業していく。両社で課題を共有し、持続可能な社会の実現に貢献していきたい」と意気込みを語った。
(2022年3月8日号)
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March 08, 2022 at 07:00AM
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