ロシアによるウクライナ侵攻で穀物輸出が滞っている問題を巡り、両国と仲介に動いていたトルコ、国連の4者は22日、穀物の海上輸送の再開に向けた合意文書にイスタンブールで署名した。穀物価格の高騰で食料危機の懸念も高まる中、合意が着実に履行されるかが注目される。国連のグテレス事務総長のハク副報道官によると、グテレス氏は2週間以内に輸送再開が可能になるとの見方を示した。
署名式に参加したロシアのショイグ国防相、ウクライナのクブラコウ・インフラ相は席を共にせず、国連、トルコとの合意文書に個別に署名した。
グテレス氏は署名式で「世界のための合意だ。(ウクライナ侵攻前から)すでに記録的な水準にあった世界の食料価格の安定につながる」と評価した。トルコのエルドアン大統領は、今回の合意は、ロシア、ウクライナ両国と密に連絡を取り、双方の懸念を解消した結果だと強調。プーチン露大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の「リーダーシップに感謝したい」と述べた。また、両国が平和の希望を取り戻す「新たな節目」になってほしいと語った。
国連によると、ウクライナ南部オデッサなど三つの港から穀物を船に積み込み、黒海からボスポラス海峡を通じて目的地に向かう。海上輸送を監視する4者による「共同調整センター」をイスタンブールに設置するため、国連側は高官による小規模な調整チームを立ち上げるという。港の整備に約10日かかるため、実際の輸送再開には一定の時間がかかる見通し。合意は120日間有効で、更新することができる。
一方、国連とロシアは、ロシア産肥料などの輸出促進に向けた合意も結んだ。欧米の対露制裁では肥料や食料は対象外となっているが、海運大手はリスク回避のため、ロシアとの取引を控えている。国連は露産肥料の輸出は世界の食料生産にとって重要だと訴え、輸送の安全性を担保することで企業活動の再開を促す方針だ。国連によると、各国に制裁解除を求めるものではないという。【ニューヨーク隅俊之、エルサレム三木幸治】
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July 23, 2022 at 08:09AM
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黒海の穀物海上輸送再開へ、国連事務総長「2週間以内に再開」 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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