トラックによる運送から、環境負荷の低い鉄道や船舶による運送に切り替えるモーダルシフト。一度に大量輸送が可能な鉄道や船舶を活用することで、炭素排出量の抑制やドライバー不足を補うのが狙いだ。国も補助金事業を展開するモーダルシフトだが、この記事では民間企業の取り組みを中心に過去記事を振り返っていく。
社会問題解決の切り札となる「モーダルシフト」
モーダルシフトとは、貨物運送の手段を自動車(トラックなど)から「より環境負荷が低い輸送手段」へと切り替えることだ。具体的には、鉄道を使った貨物運送や船舶を使った運送が挙げられる。
もともと日本国内では鉄道による貨物運送が戦後復興や行動経済成長を支えてきたが、モータリゼーションなどを背景に、次第に低コストで小回りの利くトラックの輸送が物流の中心となってきた。しかし1970年代後半の第2次石油危機をきっかけに、また地球温暖化や少子高齢化による人材不足(ドライバー不足)などの問題を受けて、一度に大量輸送が可能なモーダルシフトが国や企業の注目を集めている。
この記事ではモーダルシフトに取り組む企業各社の事例について、過去記事からピックアップする。
働き方改革がサプライチェーンを崩壊させる?
少子高齢化だけでなく、国が提唱する「働き方改革」もドライバー不足に拍車をかけている。これを追い風に業績拡大を続けているのがJR貨物だ。同社の鉄道事業は2017年3月に初の黒字化を達成。その後も、トヨタ自動車による専用列車の増便や、アサヒビールとキリンビールによる共同輸送など、大手企業からのニーズも拡大してきた。
JR貨物、旧国鉄時代の「お荷物」から浮上 外部人材登用し意識改革
JR貨物はもともと、国鉄時代から「お荷物」部門だったという。しかしモーダルシフトによる追い風と、積極的に外部人材を取り入れて社内意識を変革することにより、慢性的な赤字体質からの脱却を果たした。とはいえ、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響など外部環境の変化が業績に影響を与えやすいのは鉄道事業の宿命だ。
会社清算、3度目の再出発
経営不振からの再建を繰り返してきた宮崎カーフェリー。同社は2隻のフェリーを保有していたものの、どちらも建造から20年以上が過ぎていたことと、過去の事業再建から引き継いだ多額の債務により新規借り入れが困難だったことから、航路の存続が危ぶまれていたという。
特別清算と新会社設立を経て3度目の経営再建に乗り出している同社だが、政府系ファンドの地域経済活性化支援機構や地元連合の支援、そしてモーダルシフトの恩恵を受けて再建への歩を進めている。
獲れたて鮮魚を東京へ、新幹線物流に挑むJR東グループ
JR東日本が物流に挑戦している。具体的には、新幹線を使って「鮮魚」を輸送するというものだ。まずは実証実験として「新潟県佐渡市で水揚げされた甘エビ」や「岩手県宮古市で採れたウニの瓶詰」を、それぞれの産地から品川駅まで新幹線で運んだ。
新幹線による輸送は、場所によっては従来のフェリーとトラックを組み合わせた輸送と比べ1日以上の時間短縮が可能だという。また新幹線はトラックよりも環境負荷が小さいため、二酸化炭素の排出削減にも有効だ。
コストと効率だけでは不十分、SDGsが変える供給網
モーダルシフトは業界を超えた変化をもたらした。ユニ・チャームとサントリーが始めた共同輸送もそのひとつだ。具体的には、コンテナによる大量輸送を得意とする鉄道を利用することで「重量のある飲料を下に、軽い衛生用品を上にして大型コンテナに混載」するという手法が可能になった。両社の関係者は「コスト削減の効果よりも環境負荷低減の効果を見ている」と語る。
日野自動車が物流事業 探る「クルマを売らない」稼ぎ方
一方、全日本トラック協会によるとトラックの輸送量は年間約43億トンで国内の貨物輸送量の91.5%を占めるという(2019年12月当時)。モーダルシフトの流れがどれだけ進んでも、地球温暖化やドライバー不足といった課題に対処するにはトラック業界からの取り組みが欠かせない。
この点で注目されるのが、トラックメーカーである日野自動車が開始した「荷物とトラックのマッチングサービス」だ。
最後に
トラックから環境負荷の小さい鉄道や船舶へ。貨物輸送業界では、こうしたモーダルシフトの動きがますます強まっている。鉄道事業者や船舶事業者、荷主となるメーカー、そしてトラックメーカーまでも、モーダルシフトを意識した取り組みに力を入れる。今後は、こうした取り組みの成果はもちろん新たなサービスの登場も楽しみにしていきたい。
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