- 研究背景
熱帯での物質の輸送経路や半球輸送における夏モンスーンの役割はこれまで十分に解明されていませんでしたが、日本の衛星GOSATに搭載されたセンサTANSO-FTSの熱赤外バンドで観測されたメタンの鉛直濃度分布データと、大気化学輸送モデルMIROC4-ACTM(注2)のメタンのシミュレーションデータを利用して、物質の半球輸送の経路に関する解析研究を行いました。
(1) 熱帯南アメリカ(図2:青紫)、熱帯アフリカ(図2:緑と黄)、東南アジア(図2:赤紫)において年間を通して最も活発に半球輸送が起こっている。
(2) これらの領域では移流傾向がどの季節も負(北半球から南半球へ輸送される)になっており、北半球で放出された物質が南半球へ輸送され、効率的に全球に「分配」される。一方、熱帯インド洋(図2:オレンジ)では夏モンスーンの影響で半球輸送に大きな季節性があること、熱帯アフリカも東西(緑と黄)で夏モンスーンの影響が異なっている。
(3) 北半球の夏季はITCZの位置が北方に遷移しているため多くの領域で移流傾向が正(南半球から北半球への輸送)となっているが、熱帯アフリカ東部(図2:黄)では8月から9月にかけて南半球への輸送が強化される。
- 研究助成
- 発表論文
An analysis of interhemispheric transport pathways based on three-dimensional methane data by GOSAT observations and model simulations
GOSAT観測とモデルシミュレーションの3次元メタン濃度データにもとづく半球輸送経路の解析
【DOI】https://doi.org/10.1029/2021JD035688
【著者】D. Belikov1, N. Saitoh1, and P. K. Patra1,2
1. 環境リモートセンシング研究センター, 千葉大学, 千葉, 263-8522, Japan
2. 海洋研究開発機構 (JAMSTEC), 横浜, 236-0001, Japan
- 補足情報
(注2)MIROC4-ACTM:大気海洋結合モデル(MIROC4)をベースとした大気化学輸送モデル。気象場(水平風、気温)は気象庁JRA-55データを用い、メタンの地表放出量と吸収量、大気中での化学反応(水酸化ラジカルOH、励起酸素原子O(1D)、塩素ラジカルCl)を与えて大気中のメタン濃度を計算する。
(注3)アベレージングカーネル:衛星等のリモートセンシングによる観測の高度ごとの感度を表す、観測の高度分解能の指標となる値。
(注4)ハドレー循環:地球規模の大気大循環の一つであり、赤道付近で上昇し、南北30º付近で下降する循環。
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September 30, 2022 at 12:00PM
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メタンの半球輸送におけるアジアモンスーンの役割を解明 - PR TIMES
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