トラック運転手の残業規制が来年四月から強化され、人手不足で物流が停滞する「物流二〇二四年問題」が懸念されている。過酷な労働状況を改善するのは当然だ。問題ある商慣行の見直しや効率化を進め、物流の安定性を確保したい=写真は駐車場で休憩中の大型トラック、名古屋市港区。
政府によると、運転手の年間労働時間は全産業平均よりも約二割長い。現在は残業時間に上限がなく、長時間労働が発生しやすいため、慢性的な人手不足が続く。
運転手の残業時間が年九百六十時間に制限されると、何も対策なしの場合、輸送力は14%不足するとの推計がある。一人の運転手で担えたルートに二人必要になるなど特に長距離輸送への影響は大。物流の大半を占める企業間のモノのやりとりが滞れば、日本経済全体が打撃を受けかねない。
改善すべきは、運送業者と荷主のいびつな関係だ。運送業者の多くは中小零細企業のため、立場の強い荷主から運賃を低く抑えられるなど不利な立場にある。運転手が商品棚への陳列など契約外の作業をさせられることも少なくないという。荷主側が荷役作業のコストを押しつけている形だ。
また、荷主企業から運送を依頼された元受け企業が下請け、さらに孫請けの零細業者へと仕事を回す「多重下請け構造」も問題が大きい。いわば「中抜き」構造の中で、最下流で実際に荷物を運ぶ運送業者に適正な運送対価が支払われない実態があるという。
政府は最近やっと、荷役への対価支払いや多重下請け抑制などを求めるガイドラインを示したが、どんな対策も「実効性」を旨とすべきだ。実際に運送を担う業者が適正な運賃を受け取れる明確な仕組みなど、いびつな商慣行を確実に改める手だてを講じてほしい。
物流全体に占める割合は大きくないが、宅配便にも影響が出そうだ。ネットで注文、翌日に商品が届く利便性は魅力だが、宅配便の件数急増が運転手の負荷を高めた面もある。二度手間となる再配達率を下げるため、消費者も不急の荷物は配達日数に余裕を持たせるなど、できる対応を心掛けたい。
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<社説>物流24年問題 運転手も輸送も守ろう:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞
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