長時間労働の是正策
トラックドライバーの長時間労働を是正することが大きな課題となっている。ドライバーの労働時間の規制が強化される「2024年問題」に限らず、人材確保の観点からも過度な長時間労働を減らすことが急務である。
特に長距離を走るドライバーは、どうしても労働時間が長くなりがちで、将来その担い手が大幅に不足すると懸念されている。
長時間労働を是正する方策として、
「中継地点」
を設け、そこでドライバーを交代させる取り組みが増えている。
食品メーカーのカゴメ(愛知県名古屋市)と日清製粉ウェルナ(東京都千代田区)は、両社の関東地方と中部地方の拠点を運んでいるトラックを、途中の静岡県内でドライバーを交代させ、それぞれのドライバーが日帰りで勤務を終えられる仕組みを始めると発表した。
従来、カゴメは茨城県内の工場から愛知県の倉庫へ、日清製粉ウェルナは愛知県の倉庫から埼玉県内の倉庫へ、それぞれ製品を単独で運んでいた。この場合、帰路を含めると
「1泊2日」
での運行となる。
それを静岡の中継地点でドライバーが交代することで、関東~静岡、中部~静岡の運行となり、距離が短縮されて日帰りでの運行が可能となる。
中継輸送はおおまかに3種類
カゴメと日清製粉ウェルナは、共同出資している物流会社のF-LINE(東京都中央区)がこの仕組みを提供しているが、ほかにも中継輸送の取り組みは全国の企業に広がっている。中継輸送を実施する拠点は、
・高速道路のサービスエリア
・道の駅
などが設定される。
中継輸送には、大きく分けて
1.ドライバー交代方式
2.トレーラー・トラクター方式
3.貨物積み替え方式
がある。
「1」は、中継地点でそれぞれ運転してきたトラックを交換し乗り換えるやり方、「2」はトレーラー(荷台)を切り離してトラクター(運転台があるけん引車)を交代させるやり方、「3」は中継地点で荷物をそれぞれのトラックに積み替えるやり方である。
「3」は従来貨物ターミナルなどで行われているクロスドック(拠点で荷物を方面別に仕分けしてそれぞれのトラックに積み込むこと)と同じやり方であり、それを設定した中継地点で実施するものである。「3」では、中継地点で荷さばき場やフォークリフトが必要となり、物流会社が用意した拠点を設けることになる。
中継輸送の課題
中継輸送を行うにあたり、いくつか課題がある。
まず、交代できる相手のトラックがうまく見つかるかという問題である。荷主企業同士であれば、カゴメと日清製粉ウェルナのように定期的かつ行き先が同一の運行であることが前提となる。
相互に運行ダイヤを固定し、同じタイミングでトラックを走らせる必要がある。一方が休日となる場合は中継輸送を行うことはできず、単独で運行を行わなければならない。物流会社が主導する中継輸送においても、相手先をうまく組み合わせられるかが成功のポイントとなる。
また、道路渋滞などで予定していた時刻よりも中継地点への到着が遅れる可能性がある。時間設定に多少余裕は設けるにしても、やむを得ない遅延が発生することがあるだろう。この問題については
「待つしかない」
のが実情である。この場合、遅れが発生したトラックの荷物だけでなく、「待たされた荷物」も届け先への到着が遅れてしまう可能性がある。着荷主に対しても、中継輸送を行うことの説明と理解が求められる。
運行の所要時間に関しては、中継輸送より1台のトラックで直行する方が乗り換え時間の確保が不要で、直接的な運行時間は短くなる。
また、高速道路の利用が前提となるといった運行経費の増加につながることもあるが、長時間労働の是正や日帰り勤務を望むドライバーの確保など、メリットの大きさを鑑みると有効な施策であることは間違いない。
ほかにも中継輸送において懸念されることとして、荷物の破損事故がある。異なる運送会社が中継輸送を行った場合、到着したときに荷物の破損があったときに
「どちらの運送会社の責任か」
わからない。これについては賠償の負担割合を運送会社同士で合意しておくなど事前に条件やルールを決めておくことが必要となる。
実現に壁も、大きなメリット
また、ドライバー交代方式では、
・行きに乗っていたトラック
・帰りに乗るトラック
が代わることになる。
運送会社によっては、乗務するトラックをドライバーごとに固定しているところがある。固定することで、車両ごとの走行における独特の癖を把握し、安定した運転ができるというメリットがある。
さらに、「自分のトラック」という意識が高まり、車体やキャビンを清潔にしたり、整備を丁寧に行うようになったりといった
「大事に乗る」
ドライバーを増やすことができる。
乗る車両が代わると、そのような意識が多少薄まるかもしれない。キャビンで喫煙を許可しているところでは、非喫煙者が乗務する際、嫌がるドライバーも出てくるだろう。これらについても、ドライバーに丁寧に説明して理解を促しておくことが求められる。
中継輸送は、どこでもいつでも実施できるというものではない。運行距離の半分程度の場所に中継地点を設け、発時間や着時間がちょうど合致する相手や荷物を確保する必要がある。
相手方や荷主と合意すべきことも多く、実現に向けたハードは低くない。それでも中継輸送を実施することのメリットは大きい。何よりドライバー不足に対処する一助となることは間違いない。
長距離を走りたい、数日間家を離れても大丈夫だというドライバーも数多くいるが、できれば車中泊することなく日帰りで勤務を終える会社に勤めたいというドライバーも決して少なくない。数日間家を離れることが難しい女性ドライバーを確保することにもつながると思われる。
何より全国の多くの物流企業や荷主企業で中継輸送の取り組みを増やしているのは、そのメリットが大きい証左である。取り組みはこれからも増えていくことだろう。
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July 18, 2023 at 03:41AM
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