トラックドライバーの残業規制が強化され、トラック輸送力の低下が懸念される「物流の2024年問題」。4月の規制強化を前に、打開策の一つとして期待されているのが航空貨物輸送だ。航空輸送では貨物専用機のほか、旅客機の貨物室も利用される。コストはかかるが輸送にかかる時間は短く、EC（電子商取引）などで活用が広がる。
この「コストはかかる」という常識を覆す新サービスを、全日本空輸（ANA）と、物流関連のシステムを手がけるロジレス（東京・品川）が4月から始める。輸送コストはトラック輸送と同等か、トラック以下に抑えられるという。
貨物室、重量ベースで利用率20％
この空輸サービスが低コストなのは、今まで活用できていなかったスペースを活用するため。実は、旅客機の貨物室は足元で非常に非効率な使われ方をしている。
航空貨物は通常、発送手続きや集荷作業などを日中に済ませ、夜間や早朝の便で送る。このため朝と夜を除く「ほとんどの便で貨物スペースに空きがある」（末原聖・ANAカーゴ常務取締役）。ANAの国内線の旅客定期便では、重量ベースの貨物室の利用率は約20％にとどまり、空きスペースを使えば年に約125万トン分の貨物を運ぶことができる。
新サービスでは、ECサイトで受け付けた注文と、倉庫での発送作業、ANAの貨物室の空き具合などをシステムで一括管理することで、発送手続きに要する時間を短縮する。従来は注文を受けてから出荷を指示するまでに時間がかかる上に、その後に配送手段を選び、発送するという手順を踏んでいた。今後は注文データが即時に倉庫にも共有され、そのままシステム上で航空機の貨物室の空き状況を見て配送を手配できるようになる。
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