【「独り」をつないで ひきこもりの像】 失いかけた命 (下)
2013年秋。自殺未遂に気付いた母親の通報で、ユウタさん(42)=仮名=は自宅から救急搬送された。緊急手術し1カ月入院。それまで病気と認めたくない一心で避け続けた精神科の受診も促され、その後、精神科病棟でも1カ月過ごした。医師の診断は適応障害。退院後、送迎付きの障害者就労支援施設で農作業に汗を流す日々が始まった。
◆適応障害
6年半のひきこもり生活で体力が弱った中での屋外作業。「最初の半年は何度もくじけそうになった」
施設側は「無理せずにね」という対応。気遣いはありがたい半面、心持ち一つでひきこもりに戻りそうな環境がかえって苦しかった。「後戻りするのと、頑張って今日を乗り切るのとをてんびんに掛け、ギュッと心を奮い立たせた」
一方、施設では、同じように通う仲間や指導員に同世代が多く、趣味のオートバイの話も合った。1年半通い少しずつ自信を身につけ、ハローワークで障害者枠の雇用を見つけて運送関係に就職した。
◆力になれたら…
4年たった今年6月、長期化するひきこもり問題を報じる番組を目にしてはっとした。「それまで、ひきこもり中に助けてもらえなかった自分を悲観してばかりだった。でも同じ経験をしている人がたくさんいるんだと分かった」。インターネットで調べた県内の家族会に電話し「力になれたら」と申し出た。
「ひきこもりは誰でもなりうる。家族の責任じゃない。親が外に出そうと頑張れば頑張るほど本人もしんどくなる」。11月下旬の沖縄市内。子どものひきこもりに悩む親たちを前に「親は親の人生を楽しんでほしい」と語り掛けるユウタさんの姿があった。
今は「地獄を抜けだし、つながった命を誰かのために使いたい」。自殺を図った時、これほどつらい経験は自分一人だけだと思い込んでいた。人知れず追い詰められている人に「独りじゃない」と伝えられたら。ピアサポーターとして、ひきこもる人に寄り添う道を模索している。
◆前に進み続ける
就労や経済的自立を前提にした支援策は、家を出る方法すら分からなかった当時の自分にはずれているように感じた。ギャップを埋められるのは当事者の声。「同じように困っている人を助けるために、今ひきこもっている人も、経験した人も、一緒に声を上げよう」と呼び掛ける。
今月、父親がひきこもりの息子を殺害した事件の裁判があった。「あのとき苦しかった」「気持ちは分からなくもないよね」。父親の供述を伝えるニュースを見ながら、どちらともなくこんな会話を交わすほど母との距離は縮まった。
前に進み続ける。願いを掛け、ひきこもりを脱して就職したとき8年ぶりに購入したスニーカーは今、はき続けてほつれが目立つ。そろそろ別の靴に替えてもいいか、と思っている。
(「家族のカタチ」取材班・篠原知恵)
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January 21, 2020 at 04:16AM
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自殺図り緊急手術 6年半の“地獄”の先に見つけた道 「大事なのは当事者の声」(沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース
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