日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡先として注目を集めるレバノンで11日以降、ハッサン・ディアブ新首相の誕生から3週間強を経ても組閣が進まないことに業を煮やした市民による抗議デモが、首都ベイルートや地方都市で再発している。(畑中美樹)
3日後の14日には、「怒りの週間」と銘打った新たな反政府抗議デモを勢いづかせるように、首都ベイルートでは市民がタイヤを燃やしたりごみ箱をひっくり返したりして市内に通ずる主要な道路が封鎖された。同日には抗議デモ者たちが「反乱するベイルート」と叫びながら、いまだに組閣できないディアブ新首相の自宅に向けて行進も行っていた。同様の反政府抗議デモは、第2の都市のトリポリや南部のハスバッヤ、シドン、ザハレなどの地方都市でも再発している。
抗議者の一部は、道路の舗装を引き剥がして治安部隊に投げつけたり、金属棒や棍棒(こんぼう)を手にドル預金の引き出し制限を設けた銀行や、海外送金に制限を設定した外貨両替商の窓ガラスを割るなどの騒ぎを起こしている。劇場やレストランもある東京でいえば銀座通りに当たる首都レバノンのにぎやかなハムラ通りも、同日夕刻には、抗議デモ者と治安部隊の衝突を警戒してかひとけがなくなっていた。
加えて、同夜には、治安部隊が抗議デモ者の数人を拘束したことも手伝って、反発した抗議デモ者と治安部隊との大規模な衝突が中央銀行の近くで発生している。メディアが伝えたところでは、抗議デモ者たちは中央銀行の周囲に張り巡らされた金属製の障壁を取り除いて警護員を襲い数人を負傷させたという。なお、地元テレビ局アル・ジャディードは、治安部隊員が抗議デモ者を威嚇しようと機関銃を数回空中に撃つ場面を放映していた。
レバノンでは昨年10月中旬、蔓延(まんえん)する汚職と悪化する生活への市民の不満が爆発する形で抗議デモが発生しハリリ首相が辞任を余儀なくされた。そのためアウン大統領は12月19日に教育相経験を持つ学者肌のディアブ氏を新首相に指名し組閣を一任した。新首相の誕生時期がクリスマス・シーズンと重なったこともあって、幸いにもその後の数週間は大規模な抗議デモはなくなり小規模な集会が開かれるのみとなっていた。
だがここに来ての抗議デモの再発は、「生活費」の上昇に歯止めがかからないなか自由に自分の預金も引き出せないにも関わらず、深刻化する経済問題に対処し得る新内閣が発足しないことに一般市民が益々怒りを募らせていることを示している。
ちなみに、レバノン国旗を振りながら抗議デモに加わっていた女性の次の言葉が、やり場のない彼らの怒りの気持ちを代弁しているといえそうだ。「われわれは彼らに新政府の組閣に1カ月を与えた。だが彼らはわれわれが弱腰と見て再び汚職をはじめた」「彼らは、市民やレバノンが経験しつつある経済崩壊など気にかけていないことを示した。それ故、われわれは道路に戻り抗議することを決めた」(14日付のアラブ・ニュース紙)と。
抗議者の中にはゴーン被告を汚職まみれの富裕エリート層の一人と見る人も少なくない。それだけに、今後レバノンの経済危機がどのような形で展開していくことになるのか。注目しておく必要がありそうだ。
【プロフィル】畑中美樹
はたなか・よしき 慶大経卒。富士銀行、中東経済研究所カイロ事務所長、国際経済研究所主席研究員、一般財団法人国際開発センターエネルギー・環境室長などを経て、現在、同室研究顧問。東京都出身。
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January 27, 2020 at 05:18AM
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ゴーン氏の逃亡先レバノン 経済危機の深刻化でデモ再発(SankeiBiz) - Yahoo!ニュース
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