Monday, April 6, 2020

「先が見えない」 愛知の学校、一転休校延長で保護者困惑 - 日本経済新聞

全国各地の小中学校で入学式が開かれた6日、愛知県は授業再開の方針を見直し、一転して19日までの休校の延期を決めた。新型コロナウイルス感染を心配していた保護者らが安堵の表情を浮かべる一方、仕事との両立や受験勉強への影響など不安は大きい。長引く休校で「先が見えない」と困惑する声が相次いだ。

新入生はマスク姿で入学式に臨んだ(6日午前、名古屋市西区の市立比良西小学校)

新入生はマスク姿で入学式に臨んだ(6日午前、名古屋市西区の市立比良西小学校)

小学生2人の子を持つ名古屋市西区の男性(38)は「子どもが感染してからでは遅い。ひとまず安心した」と休校延長を歓迎した。市内の各校は教室の換気や消毒などの対策を徹底して新学期を迎えると説明していたが、「狭い教室の中で密集を避けるのは限界がある」と心配だったという。

6日午前に入学式を開いた西区の比良西小では、松藤耕造校長(53)が「感染拡大で苦しいことも多いですが、学校生活を送っていれば楽しいこともたくさんあります」と、7日から授業が始まるのを前提に新入生へ呼びかけた。だが、市は午後になって19日までの休校延長を発表した。

東京都や大阪府が休校延長を決めた後も、愛知の多くの自治体は予定通り授業を再開する判断を変えていなかった。ただ、校内での感染に対する保護者らの不安は根強く、インターネットでは休校延長を求める署名活動も起きていた。

「感染が広がっているので仕方ない」。名古屋市の主婦(36)は休校延長に納得する一方、判断が6日までずれ込んだことを疑問視する。入学式を迎えた長男(6)は久しぶりに友達と遊べる毎日を心待ちにしていたという。「行政がもう少し早く方針を示してくれたら、ぬか喜びせずにすんだのに」と憤った。

休校の長期化で、共働き世帯などの悩みも深い。愛知県内で6歳と1歳の子どもを育てる女性会社員(39)は、育児休暇が4月末に終わる予定。5月以降も休校が続けば預け先を探さなければならない。「先が見えない。このままずるずると休校が続くのでは、と恐怖を感じる」と話す。

名古屋市の女性会社員(43)の家庭では、中学3年になったばかりの長女(14)が休校中、妹2人と弟の面倒を見ていた。女性は「長女が勉強に集中できる環境をつくってあげられない。授業時間も削られ、高校受験に悪影響が出ないか心配だ」と嘆いた。

愛知県の大村秀章知事は6日、休校延長について「国内と県内の感染状況を踏まえた。今後どうするかは感染拡大の状況を見る」と述べた。岐阜県や岐阜市はすでに県立高や小中学校の休校延長を決めている。三重県は鈴鹿市と、その周辺の県立高などを除いて休校延長はせず、多くの公立小中学校で6日に入学式や始業式があった。

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