「終着駅」と聞いて多くの人は哀愁を感じるのではないだろうか。人里離れた最果てに行き着き、周りに何もない駅、線路は先に延びる予定だったが、計画が頓挫して図らずも行き止まりになった駅。ただ、そんな寂しい駅だけでなく、観光地の玄関口として駅自体が名所になっているケースもある。さまざまな表情を持つ終着駅を2回にわたり紹介する。
全線完乗の「鬼門」
山口県内を走る小野田線に雀田(すずめだ)駅(山陽小野田市)から出ている支線がある。長門本山駅(同市)までの2・3キロ。通称本山支線は、鉄道の全線完乗を目指すファンにとっては「鬼門」だ。一日に3往復しか列車が走っていないからだ。
乗りつぶすには時間の調整が必要で、前泊を余儀なくされる場合もあるだろう。走っている列車は1両編成。荷物電車を旅客用に改造した黄色いクモハ123形が使われ、何ともシンプルな感じを醸し出している。
本山支線の終着駅、長門本山は当然、無人駅。駅舎と呼べるものはなく、ホームには雨をしのげるほどの建物があり、ベンチが設置されている。すぐ脇を県道が通り、ここに駅があることに気付かずに通り過ぎる車もあるだろう。周辺には住宅が広がり、体育館もある。駅前のバス停からはおよそ1時間に1本、小野田駅までの便がある。終着駅の「秘境感」は一切なく、日常に溶け込んでいる。
ローカル線の役割
駅の歴史をたどると、終着駅としての役割が浮き彫りになってくる。山口県南部を走る宇部線、小野田線は明治、大正時代に主に石炭、石灰石を運搬するために開通した軽便鉄道が始まり。長門本山の開業は昭和12年1月(開業時の駅名は本山)。海底炭鉱である本山炭鉱の石炭輸送が目的だった。
38年に閉鎖される直前の37年7月に撮影された長門本山周辺の航空写真を見ると、駅と海に挟まれた南側には大きな炭鉱施設が建っているのがわかる。その北西側には炭鉱住宅が並び、多くの人々が作業にあたっていたことを示している。おそらく線路は駅を越え、海岸まで続いていただろう。現在、単線が乗り入れているホームの反対側には、引き込み線があったとみられるスペースが残っている。
炭鉱施設のあった場所はいったんは更地になり、現在はソーラーパネルが敷き詰められ、時代の流れを感じさせる。駅から徒歩10分の場所に「旧本山炭鉱斜坑坑口」が残り、山陽小野田市で盛んだった石炭産業を今に伝える建造物として市指定文化財となっている。
このほかにも本山岬、竜王山公園といった美しい景色が楽しめるスポットに近い。駅とともに訪れるのもいいだろう。
本山炭鉱が閉鎖された後、42年10月の本山支線のダイヤを見ると1日に25往復も走っている。現在の1日の平均乗車人員は22人(令和4年度山口県統計年鑑)、そして3往復。駅を取り巻く環境は変わっていくが、ローカル線としての役割がある限り、単行の黄色い電車は走り続ける。(鮫島敬三)
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December 21, 2023 at 08:30AM
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【行ってみよう終着駅】石炭輸送でにぎわいの駅 今は1日3往復で希少価値 長門本山駅 - 産経ニュース
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