Tuesday, July 16, 2024

【リレーコラム】大阪サンスポ~直前輸送が主流の時代にby佐藤将美 - サンスポ

大阪サンケイスポーツ・佐藤将美記者

時代は変わったものだ。

2024年、夏。小倉競馬開催最終週の早入り取材のため、栗東トレセンでこの原稿を書いている。今は栗東で追い切って、直前輸送で小倉、新潟などに行くのが主流だが、ひと昔前は現地滞在が基本。馬、調教師、騎手、厩務員らスタッフが小倉に〝移住〟して2カ月間、滞在していた。自分が競馬記者になったのは1986年だが、当時は夏場に栗東に来ることは皆無だった。

直前輸送を振り返ってみると、定かではないが1979年あたりからスタート。のちにオークス馬に輝いたケイキロクがフェニックス賞をデビュー戦に選び、栗東で追い切って輸送したことが当時の新聞に書いてあった。結果は8着…。ほかにも1年に数頭ほどいたが、目立った成績は残していない。

ところが時代を重ねるに連れて、道路状況が良くなり、冷暖房が完備された馬運車も投入された。また、厩舎サイドも栗東の坂路やウッドコースで追い切りを希望するところが増えて、いつしか直前輸送が普通になっていった。親しい厩舎関係者に聞くと、「7時間半ぐらい。途中、一回、1時間半ぐらいの休憩を取るのが一般的かな」とのことだった。

ちなみに北海道への輸送なら、栗東から函館は20時間ぐらい。高速道路を通って、青森からはフェリーを使って移動する。もちろん北海道は滞在が基本だが、数はごく少数だが直前輸送で挑んでいる馬もいて、このノウハウも発達していくかもしれない。

ちなみにJRA創設は1954年で、今年が70周年。僕が記者になった頃、当時のベテラン厩務員(生きておられたら100歳ぐらい)に聞いたとき「貨物列車で輸送していた。発熱する馬もいたし、人間の方も体力的にきつかった」と話していたのが、記憶に残っている。

もっともサンスポの生き字引といわれた内山勝三郎記者(故人)は、第二次世界大戦の頃、満州国の競馬にも携わっておられたようで、馬の輸送など何回か話を聞かせていただいたが、残念ながらメモをしておらず、今から思えば残念で仕方ない。

いずれにしろ、交通手段の発達によって、人々の旅行はもとより、馬の輸送も進化を遂げている。ちなみに関西の競馬記者は、小倉への移動は新幹線で大阪から2時間少し。もうちょっとだけ書かせていただくと、山陽新幹線は1972年に新大阪─岡山が開業して、75年に博多まで延伸した。それまでは富裕層は飛行機で行っていたが、記者は夜行列車、フェリーなどで移動するのが多かったそう。ま、この話でも一本書けますかな。次の機会があれば…。

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